ひるねこBOOKS『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』刊行記念イベント

2018年6月8日に『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』の刊行記念トークイベントを行いました。

kobarisan

https://www.facebook.com/events/209392903178043/

内容はこちらにまとめています。

https://note.mu/reikohidani/n/n847faf2a6f98

https://www.dropbox.com/s/x7bpiho74ysj8mz/%E3%81%B2%E3%82%8B%E3%81%AD%E3%81%93BOOKS%E3%81%95%E3%82%93%E3%80%8E%E5%8C%97%E6%AC%A7%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6%E5%B0%8F%E3%81%95%E3%81%AA%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9C%AC%E3%80%8F%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%20%287%29.pptx?dl=0

Feminism For Everybody『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』読書会、個人的感想

Feminism For Everybody『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』読書会に参加してきました。

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はじめに上智大学法学部教授の三浦まりさんのお話を聞きました。私は先生のご講演を先日With Youさいたまで聴いたばかりだったのですが、『私たちの声を社会へ 世界の潮流と日本の課題』という演題で、クオーター制のこと女性議員比率、パリテ、政治男女均等法などについてお話されていた前回と今回のお話はまた違った内容でした。今回は最近のフェミニズムのムーブメントについてお話されていました。

 

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「エマ・ワトソン、その胸の見せ方はいいの?」ノーブラ写真に論争起こる
フェミニズムにも違いが?実はあまり知られていないフェミニズムの多様性って? ビヨンセとアディーチェ
Women’s March

会にはサプライズで訳者のくぼたのぞみさんがいらしていて、お話されました。

その後グループに分かれてディスカッションをしました。

(印象的だったこと)

●『バッド・フェミニスト』の帯に名前が出て来るジェーン・スーさんの、女は8種類に分かれて連帯できないという言葉。今回、残業の少なさなどを判断基準に企業を選ぶ女性が多いのは甘えではないか、女性も働くべきです、などとおっしゃる方がいて、主婦の私はなぜだか勝手にぐざっときていた。人は立場、状況が違うとなぜだか相手と自分を比べて、後ろめたく思ったり劣等感を覚えたりする。でも相手が悪気がないのは分かった。何かを発信する時、必ず誰かが傷つく。恐れてばかりいたら、何も言えない。

●日本企業で働いていると、普通の服を着ているのに、あなたの服はセクシーすぎると言われたり、同僚から付きまとわれても、最初に応じたあなたが悪いと女性のせいにされたり、従順でないとお前はいい大学は出ているけれど、そんなに頭はよくないと言われたり、女性に対するセクハラ・パワハラが横行していることが分かった。私も会社勤めをしている時に、「自分は何でもできると思っているんじゃないぞ」と年配の男性に言われてショックを受けたことがある。企業の優しさ、モラルというのが大きなディスカッションのテーマになったような気がする。

 *『ザ・カンパニー』ではなく、『ザ・コーポレーション』の誤りでした。   ekono

●フェミニズムについての漫画を女性向け雑誌に持ち込んだ漫画家さんが、男性批判につながるという理由で、企画を却下された。女性向け漫画雑誌なのに編集長は男性だったそう。多分幼い女の子のエロ表現について気になるのは、メディアが暴力や批判の矛先を大企業など権力、お金を持つ相手には向けず、弱い立場の女、子どもに向けやすいからではないかと思う。強者にこびへつらい自主規制するくせに、と思ってしまうのかも。

 

●男が悪いのではない、男女の関係性の再構築、社会のしくみを変えることが大事。特権性の特徴は盲目であること。  

 

最後に紙に今日のまとめを書いてガラスに貼り付けました。 20170709_155837 私は「ベストマザー賞をもらうのはどうしていつも専業主婦じゃないの? 女性が皆、会社で8時間働くようになれば、それでいいの? 怒れるフェミニズムはもうやめよう。今私達に必要なのは優しいフェミニズム」(少し修正しました)と書きました。 参考:

女性としての生き方について

最近女性の生き方についての議論が活発に行われているような気がします。

朝日新聞 女の子を拘束する「呪い」、親が解かねば 駒崎弘樹さん、聞き手・錦光山雅子さん

 

そうした記事や本、映像などに触れるうちに、人間として当たり前の権利を望む女性が、この社会で「フェミニスト」「生意気な女」というレッテルを貼られ、時にうとまれることもあることに気付きました。

思い返してみると、子どもの時、私はよくTVタックルなどの番組で田嶋陽子さんが他の出演者から怒られたり否定されたりしているのを観て、「何だかよく分からないけど、フェミニストって叩かれやすいんだなあ」、「フェミニストって損だなあ」と思っていたような気がします。

でも田嶋さんがおっしゃっていたことって、そんなにおかしかったのでしょうか?

私は今30代後半ですが、最近女性同士の関係がぎすぎすしているのが気にかかっています(私が悲観的なのかもしれませんが)。働いているお母さんの中には、働いていないお母さんのことを「暇人」などと陰口を言う人もいるようですし、働いていないママはママで、互いに比べ合い、不仲になってしまうケースもあるようです。キャリアウーマンの女性は女性で、経済的に自立していることを誇りに思いつつも、結婚している友人などまわりから「いつ結婚するの?」という言葉をかけられ苦しめられるケースもあるようです。経済的に自立していない女性が、キャリアウーマンの女性を内心ねたましく思ったり・・・・・・。試しにインターネットで「専業主婦」「働いている友達」などと検索してみてください。様々な人間関係の悩みについての投稿が出てくるはずです。

学生時代からの友人と集まる時でさえ、時々緊張が走ります。Aは元幼稚園教諭。結婚して子どもができると同時に仕事をやめ、育児に専念。Bは最近子どもを産んで、1年の産休を経て、医療事務の仕事に復帰。子どもを保育所に預けはじめました。そんなBにAは、「私だったらこんなかわいいうちに預けたくないなあ」と冗談めかして言います。Bは「でも幼稚園の先生と違って、私の仕事の場合、子どもが大きくなってから復職するのは難しいんだよ~」と答えます。

どうやら幼稚園の先生というのは、結婚して子どもができると、辞めるのが一般的なようなのです。

それは保育士さんも同じなのかもしれません。もちろん仕事と子育てを両立している人もいますが、子どもが小さいうちは育児に専念して、子どもが大きくなってから復職、でもその場合、非常勤にならざるをえず、勤務時間は常勤の先生とあまり変わらないけれど、給与はかなり低くなる場合が多いようです。そしてそのいらだちをぶつける矛先は子どもや親になりやすいような気がします。私は娘が小さい時、保育所に預けていたのですが、保育所の先生から(その先生は子どもが小さい時は育児に専念していて、大きくなってから復職したようです)「保育所に子どもを預けているお母さんは、子どもの成長を見逃していると常日頃お母さん達を見ていて思うのよね」と言われたことがあります。保育所の先生の働いているお母さんへの見方は意外にシビアでした。保育所の先生とママ達の価値観の違いは明白で、私も先生との考え方の違いや批判的な言葉を投げ掛けられることに悩み、元幼稚園教諭の友人に相談した時には、こう言われてしまいました。「面倒みてもらっているんだから、嫌だったら、自分で子どもをみるしかないよ」

Hanako ママWEB 保育園義務教育化1 女性が「お母さん」になった途端に、できなくなること【古市憲寿/保育園義務教育化・1」】http://hanakomama.jp/column/interview/14208/

男性以上に女性の生き方は多様で、置かれている状況が違う人同士が分かり合うのって本当に難しいんだなぁ、と思います。

https://youtu.be/sN2HsfLE44g?t=27m32s

AbemaTV公式 YouTubeより 立場の違う人がわかり合うことについて

【3月1日イベント開催】保育園落ちた「 #フリーランスが保活に思うこと 」新しい働き方・保育の形考える The Huffington Post | 執筆者: 泉谷由梨子さん http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/15/freelance-hokatsu_n_14763608.html

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朝日新聞 女の子を拘束する「呪い」、親が解かねば 駒崎弘樹さん、聞き手・錦光山雅子さんでフローレンスの駒崎さんは、”春から小学生になる娘(6)が先日、「友達から『女のくせに』と言われた」と教えてくれました。まだ6歳になったばかりなのに。そんな娘に「女だからといってできないことは何もないんだよ」と力説しながら、「呪い」の言葉はこうやって幼いときから女の子をしばりつけていくのかと実感しました。”と書いておられます。私は娘に女の子らしくしろ、とか女の子だからピンクがいいよね、と言ったことはありません。でも、娘は残念ながら保育所で他の子や保育所の先生に言われたのか「女の子はピンク」と覚えて帰ってきました。他のママさんで、「女の子だからピンクとは教えないでください」と抗議していた人もいましたが、私はモンスターペアレンツ扱いされるのも嫌だし、何も言いませんでした。そもそも先生はこういったことを学生の時に習わなかったのでしょうか? 娘は今はもう9歳なのですが、最近娘と将来の夢について話していて、「昼間は(正社員として)働いて、16時か17時に帰ってきて、ご飯の準備をしたり、子どものお世話をしたりする」と言われ、育児、家事、仕事の両立が難しいという現実を今伝えるべきなのか迷いました。私自身は女の人らしくしろと親から言われたことがなく、「これからは女の人の時代だ。企業も女の人の能力を生かさなくては。女の子だからって男に負けるな」と言われて育ったのですが(父の期待に応えることはできなかったのかもしれません)、子どもながらに実際まわりの大人を観察して、キャリアウーマンと呼ばれていた親戚が行き遅れ扱いされているのに気付き、女の人が会社で頑張っていてもそれを認めない意地悪な大人もいるのだと、子どもながらに感じ取りました。あれから30年以上たちましたが、女性をとりまく社会の状況は変わったのでしょうか?

「昼間は(正社員として)働いて、16時か17時に帰ってきて、ご飯の準備をしたり、子どものお世話をしたりする」と言う娘に、私は何て言うべきだったのか、今も考えている途中です。子育ては人それぞれですので、皆がそれぞれに子どもに何を伝えたいのか考える必要がありますね。ひとつ、本の中にヒントになりそうな言葉を見つけました。自分が訳した本で、宣伝になってしまうのですが、とてもいい言葉だと思うのでここで紹介させてください。駒崎さんが娘さんに伝えられたことと少し通じるところ、また違っているところ両方がありそうです。http://reikohidani.net/2473/

99ページ『人間に限界はない』より

「善い人間は、自分の行動につねに責任を持つこと、人生の道を自ら選ぶことで、なりたい自分になれると知っている.

これって、すごいことだと思わないかい? きみたちは根本的には自由なんだ。でもこの世のなか、どんなときもかんたんに自由と選択肢が手に入るとはかぎらない。
たとえばこの本に出てきた哲学者のほとんどが、おじいさんだって気がついたかい? なぜだろう? 1章で、いまは哲学にしたしむのに、男か女かは関係ない、って言ったよね。でもどうしてむかしは、ちがっていたんだろう? その答えの1つに、女の人が歴史上、男の人とまったくおなじ教育の機会を得てきたわけではないことがあげられる。女性は成長する機会と自由を制限されてきたんだ。
プラトンはこのことに頭を悩ませていたにちがいない。かれが「社会をおさめるのは哲学者だ」と考えていたのを、おぼえているかい? プラトンにとっては女性も男性とおなじ、優れた哲学者だった。これまでの世界の歴史でみながそう考えれば、女性は男性とおなじ教育を受け、社会での道を自分できめる権利を得ることができたのにね。メアリ・ウルストンクラフトとシモーヌ・ド・ボーヴォワールは、教育を非常に重視し、女性が男性とおなじチャンスを得られる社会をつくるため、力を尽くした。いまでは男女は様々な面で平等だ。この自由を勝ちとるために、長年たくさんの人が奮闘してきた」

この本はスウェーデンの本です。スウェーデンの読者に向けて描かれた本ですので、「いまでは男女は様々な面で平等だ」と書かれていますが、日本でも男女は平等でしょうか? 「この自由を勝ちとるために、長年たくさんの人が奮闘してきた」とも描いてあります。でも私は何も奮闘することなく、ただ今こうしてブログを書くことしかできずにいます。娘に何と言えばいいのか、いまだに答えが出ません。

高学歴女子が年収212万でもNPOで働く理由 http://toyokeizai.net/articles/-/151362


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北欧の児童書には女性の生き方が示された作品がたくさんあります。今とても気に入っている作家さんは、先日『うちってやっぱりなんかへん?』(翻訳 青木順子さん)のイベントで、森百合子さんという方が紹介されていたKerstin Thorvallさんです。

『あなたへの本』

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働くのも、子育てに集中するのも女性自らが選ぶ権利であることや、太っている子も健康的な食事をこころがけながらも自分の体型を受け入れて自分らしくおしゃれする事、生理を迎える時のこと、デートの時に男の子にお金を出してもらうか割り勘にするかなど女性としてのたしなみがティーン向けにとても正直に、親しみやすい言葉で、かつ時に哲学的に書かれたスタイリッシュな本です。

こちらのサイトに中身の画像がたくさん載っていました。http://ida.elle.se/en-bok-del-2/

『ちいさな、ちいさな子の肖像』

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赤ちゃんの成長がとても生き生きと描かれた作品。赤ちゃんがはいはいする後姿、やわらかな手、たっちできるようになった時のこと、動き回れるようになるとたくさんいたずらすることなど、とびきりキュートな赤ちゃんの姿が描かれています。同時にそれを見守る喜びや、「赤ちゃんにとってはあなたが世界一のお母さんなんですよ」と子育て中のママへのねぎらい、励ましの言葉もおさめられた力強いママへの賛歌でもあります。

フェミニストというと、怒ってばかりの怖い人というイメージを勝手に抱いていたのですが、彼女の語りは暖かで、様々な立場にある人達への思いやりを感じさせます。

日本人でたとえると詩人、新川 和江さんのような雰囲気。田辺聖子さんほどは勝ち気じゃないかもしれません。でも田辺さんの作品も大好きで、作品を読んだ時の感動は今でも心に残っています。女性としての生き方についても考えさせられます。

 

でも自立した女性を男性は愛せるのでしょうか・・・・・・? 宇多田ヒカルさんの『俺の彼女』を聴いたり、生島治郎さん、小泉喜美子さん元夫婦の本を読んでいると、色々考えさせられます。

 

参考:しからない子育て/『ヴェスタ・リネアとおこりんぼママ』 http://reikohidani.net/2285/

お母さんを応援する絵本『いとしいあなた』http://reikohidani.net/1915/

性別役割分業、イクメン/Z棟のアウロラ お父さんが家で育児をして、お母さんが外で働く。そんな家で育つ私は、かわいそうなの? http://reikohidani.net/2202/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子どもに本を手渡す人(パンダ金魚とアクティブラーニング/いいおかおと子育て支援)

1.パンダ金魚とアクティブラーニング

日本の学校の授業は受け身ばかりで、子ども達が自ら考え、発言する参加型の学習、アクティブラーニングがあまり行われていないと言われがちです。私も自分の子どもの頃の記憶をもとに、そう考えていました。でも小学校3年生の娘の小学校の授業参観で、時代の流れを感じさせられました。

科目は国語。先生は『消えたパンダ金魚』という奇妙なタイトルが印刷されたプリントを子ども達に配りました。そして黒板に校長先生、ねこやまさん、うまかわさんをはじめとした個性的な登場人物のイラストを張り、それぞれの特徴を書きだします。子ども達と保護者が興味津々、見つめます。

すると先生が『消えたパンダ金魚』という物語を勢いよくドラマッチックに読み上げ始めました。小学校を舞台にしたパンダ金魚という珍しい金魚をめぐるミステリです。

消えたパンダ金魚を盗んだ犯人が分かる前までを先生が読み終わると、子ども達はグループに分かれ、誰が犯人か、そしてなぜそう思うのかを話しあいはじめました。大人しい性格の娘も犯人は「うまかわさんだよ」、「ううん、ねこやまさんだよ、だって・・・・・・」などと他の子達と意見を闘わせています。

そして途中先生が「コンパクトが鍵になっています」、「このコンパクトを使って暗号を読んでみて下さい」、「暗号を鏡で映してごらん・・・・・・」などと、子ども達の推理を促します。

各班、予想した犯人を発表します。1班発表する度に、子ども達は「違うよ、だって・・・・・・」などと、活発に発言します。

先生が、物語の最後の部分を読み上げると、犯人とその動機、犯行の手口、なぜそう推理できるのか根拠がはっきりしました。子ども達はなるほど、と最後まで目を輝かせていました。

子ども達が互いに協力し、異なる意見をぶつけ、すりあわせ、考えを生み出す様を目の当たりにした私は、驚きました。

そして授業の終わりに先生が、『消えたパンダ金魚』は仮説社から出ている朝の連続小説―毎日5分の読みがたりに収められている短編で、作者の杉山亮さんは学級文庫にある『もしかしたら名探偵』のシリーズを書いている杉山さんだと言って、子ども達に本を見せました。
  

参考1:『自分で考えよう: 世界を知るための哲学入門http://reikohidani.net/2473/

参考2:Benesse教育情報サイト「アクティブ・ラーニング」、実は既に行われている?

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2.子育て支援と絵本

子育て支援センターで、読み聞かせグループの方達の読み聞かせを聞き、感動しました。

0歳~3歳ぐらいの子ども達がママ達の膝にのせられ、興味津々見つめる中、グループの方達はおもちゃの鍋と食べもの、包丁、まな板を使って、カレーライスの歌を歌いながら、カレーをつくる真似をしました。ママ達が歌に合わせて子ども達の体を優しく揺らします。

次にグループの人が『いいおかお (松谷みよ子 あかちゃんの本)』(童心社)の絵本を読み聞かせた後、支援センターの部屋の端から真ん中に移動しながら、

「ふうちゃんが ひとりで いいおかおを していました」と言うと、もう1人が端から真ん中に移動しながら、「そこへ いいおかお みせてって ねこがきました」と言い、また次の人が移動し・・・・・・と劇のように物語を展開させていきます。

そしてラストの「ビスケットをくれました。ああ おいしい おいしい おいしいはどこ」でほっこり場が和んだ後、ビスケットのおもちゃをポシェットから出してきて、子ども達一人一人に、おいしい、おいしいと食べる真似をさせました。

とっても楽しい読み聞かせでした。

その後、グループの1人が、最近のお母さんはどんな絵本を読んでいるのか、とママ達に聞き、みんなで絵本の話で盛り上がりました。読み聞かせグループの方が、昔からある定番の絵本は知っているけれど、新しい絵本のことはあまり知らなくて、もっと知りたいとおっしゃっていました。こういう人達に新しい絵本を紹介するセミナーや会があればいいのにな、と思うとともに、ノルウェーの読書推進プロジェクト、『読書の種』のことを思い出しました。

http://reikohidani.net/2344/

ノルウェーの読書推進プロジェクト『読書の種』(Lesefrø)、『新・読書の種』(Ny-Lesefrø)

『読書の種』、(Lesefrø)『新・読書の種』(Ny-Lesefrø)とは?
ノルウェーで2008年~2010年にスタバンゲル大学読書研究センターの協力で、読書推進の国家プロジェクト『読書の種』(Lesefrø)が行われた。またオスロのDeichmanske図書館とオスロ南部、Søndre Nordstrand地域の保育事業局が2012年に『新・読書の種』(Ny-Lesefrø)をスタートさせたり、オスロ東部Stovner地域でも『読書の種』事業が行われたり、ベルゲンやトルガでも同様のプロジェクトが行われたり(https://www.bergen.kommune.no/aktuelt/tema/omradesatsing/9398/article-127115)と広がりを見せている。

Søndre Nordstrand地域の『新・読書の種』プロジェクト・サイト:http://lesefro.blogspot.jp/search/label/nyeLESEFR%C3%98%20-%20Hva%20er%20det%3F

ビデオはDeichmanske図書館とオスロ東部Stovner地域の『読書の種』事業の様子

上のビデオでは保育士がこの図書館の本を保育時間に子ども達に読み聞かせたり、子どもが自分で読んだり、保護者が貸りて、家庭での読み聞かせに用いたりすることができるとされている。

またipadの貸し出しも行っている。

Deichmanske図書館は保育所で本についての情報提供も行い、また半年に一度、本の入れ換えを行う(入れ換え頻度は各地域、プロジェクトにより異なるようだ)。

またブック・フェスティバルという子ども向けのイベント(上の動画03:38~ 歌を歌ったり、読み聞かせを行ったりするイベント)や

保育所関係者向けのセミナーも行っている(動画04:59~)。

また小学校入学を控えた子ども達と保護者を図書館に招待し、本についての情報や図書館の利用法などを案内するイベントも開催している(動画05:48~)。

公共図書館と保育所が連携し、子どもの読書推進活動を行うと同時に、保護者や保育士にも読書の素晴らしさ、重要性を伝えるのはとても大切なことだ。

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☆『文化を育むノルウェーの図書館』(新評論)によると、ノルウェーではこのプロジェクトに限らず、公共図書館による保育所への図書サービスに力を入れているよう。またほとんどの図書館の司書が、保育園を巡回し、定期的に図書を配本しているそうだ。

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日本でも以下のような事業があるよう。

「子供の好きな本を届けます」図書館が幼稚園、保育園に貸出サービス開始 大阪・大東市 http://www.sankei.com/west/news/140424/wst1404240038-n1.html

しらさわ夢図書館ドリーム文庫 http://yume-lib.city.motomiya.lg.jp/renkeijigyou.html

講談社本とあそぼう全国訪問おはなし隊 http://www.kodansha.co.jp/ohanashi/

 

『ウッラとベンディック町をつくる』(Ulla & Bendik bygger by)、オーシル・カンスタ・ヨンセン(Åshild Kanstad Johnsen)

『ウッラとベンディック町をつくる』(Ulla og Bendik bygger by)、オーシル・カンスタ・ヨンセン(Åshild Kanstad Johnsen)、Gyldendal Norsk社、 2016年、40ページ
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町づくりを子どもの視点からのびやかにまた鋭く描いた絵本です。ノルウェーの新聞Dagbladet紙のレビューで6つ☆を獲得しています。
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(あらすじ)
 遠い町から引っ越してきたウッラいう女の子が、集合住宅の近くのベンチで
ジャングルについての本を読んでいた男の子ベンディックに話しかけました。
「わたしはジャングルからひっこしてきたのよ」
 けげんそうな顔をするベンディックウッラはこう言いなおします
「ジャングルみたいな町っていったほうがいいかしら。木の上に家があって、
学校にいくきに木のみきをつたっておりたり、吊り橋をわたったりしたわ。
ラやライオンもいて、いつおそわれるかわからないから、車は空をぶの」
ベンディックはそんなわけない、本をよみつづけました。
たいくつしたウッラベンディックの本をじるいいました。
「この町ってつまらない。車やショッピングセンター、駐車場、
マンション、どれもこれも四角くて灰色じゃない!」
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出典(Kilder):http://www.barnebokkritikk.no/pa-gjenoppdagelsesferd-i-voksenverdenen/#.VwrmZDCLQ9Z
「この世界にはいろいろな形や色があるのに!」
ウッラはさけびました。
「そうだ、いいこおもいついた。じぶんたちで町をつくりかえればいいのよ!」ウッラ
「子どもにそんなこできるわけないだろ」ベンディック
「どうしてよ? 大人より子どものほうがずっおもしろいこをかんがえつくじゃないの。
子どもが町をつくるべきよ!」
「あ、そう。がんばって」ベンディックは家にかえろうしました。
ウッラがあをおいかけます。
 ベンディックのおうさんはウッラにもゆうはんをだしてくれました。
ウッラは魚の上につけあわせのブロッコリーじゃがいも、グリンピース、
にんじんをおく、「公園みたいでしょ」いいました。
するお父さんが「食べものであそんじゃだめだよ!」注意しました。
 そのあベンディックウッラを子ども部屋にあんないしました。
机の上にはスケッチブックがありました。
 スケッチブックにはベンディックのかいた町の絵がありました。
「物語でよんだ町を絵にするのがすきなんだ」ベンディック
するウッラがさけびました。「わたし、こういう町にすみたい!
木のぼりしたり、ボーをこいだり、坂をのぼったり、おもいっきり自転車をはしらせたりできるもの!」
「町づくりをしている人たちに、はなしてみようか」ベンディック
 ふたりはどんな町にすみたいか、はなしあいました。
「四角いだけじゃなくて、いろいろな形のたてものがあったほうがいいわ」
「小高くなっていたり、かくれたりできる場所があってもおもしろいよね。
噴水もほしいな!」
「それに高い木も。ツリーハウスや橋はどう?」
「車専用のレールもつくる?」
「町の中に遊園地もあったら楽しいね」
「町のあちこちに無料のジュース・サーバーをおきましょうよ」
「でもそうしたら歯医者さんがもっひつようになるよ」
「地下にも秘密の部屋や洞窟をつくりましょうよ。秘密の階段や
エスカレーターも」
 つぎの日、ベンディックが石のコレクションであそんでいる
ウッラがあらわれました。ごみ捨て場からひろってきたガラクタをつかって
町の模型をつくったのだそうです。
「それはぼくらの町じゃない。きみの町だ」
ベンディックウッラがかってにひりで模型をつくったこ
きにいりませんでした。
「でもきのうはなしあったアイディアをもにつくったのよ」
 その時ウッラはバランスをくずして模型をおしてしまいました。
ふたりはちらばったがらくたをかたづけながら、もういちど
町の模型をつくりはじめました。
 ペンキで色をぬったり、ボンドでくっつけたり。
 次の日、ふたりは市役所の担当者をたずねました。
 模型をみせ、プレゼンテーションをします。
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出典(Kilder):http://www.dagbladet.no/2016/02/06/kultur/pluss/ekstra/litteraturanmeldelser/anmeldelser/42994575/
 担当者は「すばらしいアイディアだけど、子どもが町をつくるなんて
きいたこはないわ。町づくりにはいろいろな法律やきまりがあるのよ」いいました。
「じゃあその法律っていうのを今しらべてください!」ウッラは叫びました。
担当者は子どもが町をつくってはいけないって決まりがないこきがつきました。
「いままできみたちみたいなこをいってきた人はいないよ」
「それは皆カーテンや窓をしめきって、じぶんたちのくらす町に無関心だからでしょ。
町がこんなに灰色でどんよりしているに、どうして大人はきがつかないの?」
 担当者ははっして、自分のくらしをふりかえってみました。
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出典(Kilder):http://www.barnebokkritikk.no/pa-gjenoppdagelsesferd-i-voksenverdenen/#.VwrmZDCLQ9Z
 仕事が終わるエレベーターで市役所の地下の駐車場にいき、車にのりこむ
子ども達をむかえにいきます。スーパーでかいものをおえる
マンションの地下の駐車場に車をめます。それからエレベーターで部屋にいき、夕飯をつくって
食べ、テレビをみて、ねる。窓の外をながめるこなど、たしかにほんどありません。
 担当者はいいました。
「今度港の近くの一角を再開発する予定なんだ。
古いお店がみな閉店してしまってすたれてしまっているからね。
町の人たちにきみたちのアイディアをつたえてみるよ」
「やった、約束だよ!」
ウッラベンディックびあがってよろこびました。
(看板の文字)
ウッラベンディック工事中
1年後
ウッラとベンディックの町ができあがりました!
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出典(Kilder):http://www.litthusbergen.no/program/2016/05/aashild-bygger-by/
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(この本の素晴らしいところ)

 大人になると時に思ったことを率直に言えず口をつぐまざるをえないことがあります。この作品では、子どもが主人公だからこそ大人が言えないこと、忘れてしまったことを鋭くえぐり出せているように思えます。ウッラとベンディックは市役所の町づくりの担当者に、大人たちがカーテンや窓をしめきって、じぶんたちのくらす町に無関心で、町が灰色でどんよりしていることに気がつかないんじゃないかと言います。その言葉を聞いた担当者は、仕事と家を往復するだけで町を眺める心のゆとりがない自分たちの生活を振り返り、はっとさせられるのです。

 町づくりをテーマにした絵本には、他にこんな作品があります。
ぼくのまちをつくろう! ぼくのまちをつくろう!
作:スギヤマ カナヨ出版社:理論社絵本ナビ
 http://bhjinbocho.exblog.jp/23700751/(ブックハウス神保町のホームページより)
http://www.rironsha.com/?mode=f58(理論社ホームぺージより)
 ワークショップも行われているようで、とても楽しそうです。
 私もこの本を小学校の読み聞かせに使ったことがあります。オーシルさんの作品が現実と夢の中間だとすれば、この作品は子どもの夢をファンタジックに描いた作品と言えるでしょう。ただ1つだけ難しいと思ったのは、建物の形がどれも四角くて一見しただけでは、どの絵がどの建物を指しているか分からないところです。かなり小さな絵本で、建物1つ1つが小さいので、教室での読み聞かせに使うのは難しい面があるように感じました。家で読んだり、ワークショップに使うには最適の作品なのでしょう。
 一方、オーシルさんの作品では、建物の色も形も斬新で、どの絵が何の建物をあらわしているのか一目瞭然ですので、読み聞かせにも使いやすいと思います。もちろんワークショップもできそうです。
 またこんな作品もあります。
ぼくたちのまちづくり 4 楽しいまちなみをつくる ぼくたちのまちづくり 4 楽しいまちなみをつくる
出版社:岩波書店絵本ナビ
  町づくり計画コンテストに小学校の子ども達が参加する話なのですが、この作品は絵本というより読み物に近く、読み聞かせ用につくられたわけではありません。また今回の作品以上に現実的に町づくりが描かれています。
 オーシルさんの作品では、市役所に直談判に行くという現実的な手順が踏まれている割には、2人の意見があっさり通ってしまうところが、少し不思議に思えました。というのも私も娘が保育所に通っている時に保護者の会から年に一度市に提出する要望書に、保育所の門が重くて両手で開けなくてはならず、その間に子どもが道路に飛び出してしまうので、門を軽いものに変えるか、車が侵入しないようボラードをつけてほしいと書いた際、要望が通るまでに時間がかかったからです。
 ただ現実をそのまま絵本の世界で描く、つまらないものになってしまうのかもしれません。
 ウッラとベンディックがつくったのは、子どもたちが遊びやすい町でもあります。今、日本では公園でボール遊びをしてはいけないとか、様々な規制があり、子ども達の遊び場が減っています。
http://ure.pia.co.jp/articles/-/37133(“遊べない子”が増えた!? 公園の「禁止事項」増加が子どもの心に与える影響)
http://women.benesse.ne.jp/akuiku/riyu/index4.html( 子どもの環境変化と遊びの重要性)
https://www.posa.or.jp/outline/pdf/tokyo04-info141203.pdf(まちづくりからみた遊び環境の実態、課題)
 大人が一生懸命に遊び方を教えずとも、子どもは何でも遊びに変えてしまう遊びの天才です。その子ども達が今、遊ばなくなっている(もちろんそれでも遊んでいる子は一杯います)というのは、私達大人が作り出した社会環境により彼らの行動が相当に制限されているということなのではないでしょうか。
 私の娘の学校では保護者会の時間に、地域の方たちや保護者がボランティアで子ども達に小学校の体育館でボール遊びやトランポリンなどをさせる活動が行われていていて、うちの娘もその時間をとても楽しみにしています。とてもありがたいです。
 ただ子どもが大人の手を借りずとも毎日、安全に遊べる環境があったらどんなにいいかと願う気持ちもあります。
参考:http://reikohidani.net/1456/(ミンダナオの子ども達について、松居友さんのお話)

デンマーク翻訳者向けサマースクール

2015年夏、デンマークのロスキレで開かれた翻訳者向けのサマースクールに参加しました。

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写真出典:『デンマーク語で四季を読む』より

ピア・ユール(Pia Juul)さんのワークショップに参加しました。ピアさんは訳者から作品についてたくさん質問がきた時、はじめはその訳者がデンマーク語を分からないのではないか、と心配になったけれど、やりとりを続けているうちに、段々と、不明点を細かく質問するのはその訳者のスタイルなんだな、と思うようになった、とお話されていました。

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写真出典:『デンマーク語で四季を読む』より

ノーベル文学賞の候補にもなったインガー・クレステンスン(Inger Christensen)の『蝶の谷』というソネットの翻訳ワークショップにも参加しました。イタリア語や英語に翻訳した際には、ソネットの形式を何とか保つことができるようでしたが、日本語では到底不可能だと思いました。私も日本語に訳した訳文を読み上げたのですが、読み終わった後、「長くない?」、「何か足したんじゃないの?」と皆、目が点。ヨーロッパ言語と構造がかなり異なる日本語について、他の国の訳者さんと議論するのは難しいと思いました。
ブルガリア語の翻訳者さんが、「ブルガリア語とデンマーク語はかけ離れているので、ソネットとして訳すのは難しい、デンマーク語からブルガリア語に翻訳するのは文章を書き直すのに近い部分もあるので、翻訳者は作家のように文章が上手でなければいけない」とおっしゃっていたのですが、イタリア語の翻訳者さんは「全然そうは思わない」とのこと。言語の違い、各翻訳者の考え方の違いが垣間見られた議論でした。

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また警察博物館の方がいらして、デンマークの警察組織についてのお話もしてくださいました。警察の階級についてや、警察署内の男性警官、女性警官の立場について質問が出ました。

下は博物館の様子です。

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こちらでもたくさん写真が見られます。

デンマークの警察に関する資料もダウンロードできます。

ちなみにお隣ノルウェーの警察についてはこちらサイトが役に立つかもしれません。

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また重訳についても話題に挙がりました。イタリアでは特にノンフィクションは、純文学ほどは原文のニュアンスが大事とはされておらず、重訳が多いのが現状だという話も出ました。

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イタリアでは北欧料理のレシピ本が大変人気があるというお話もうかがうことができました。翻訳者の1人でデンマーク人とイタリア人のダブルの方がこんな本を書いていて、イタリアで人気だそうです。

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画像出典(Kilder):http://www.palermotoday.it/eventi/cultura/presentazione-libro-eva-valvo-20-dicembre-2014.html

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ノルウェーの作品、『イーダ』のフランス語翻訳者さんともお話できました。フランスの博物館でIDAの展覧会が開かれるかもしれなかったそうですが、予算の問題で実現できなかったものの、訳書の評判は大変よく、2冊目が出され、さらにフランスの読者に向けて著者が書き下ろした3冊目の翻訳作業が進行中とのことでした。

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画像出典:http://www.sogensha.co.jp/booklist.php?act=details&ISBN_5=76063、amazon.fr

 

フランス語の訳者さんについての記事はこちら→http://www.norvege.no/News_and_events/Culture/literature/Le-livre–Ida-lextraordinaire-histoire-dun-primate-vieux-de-47-millions-dannees–recoit-le-prix–La-Science-se-Livre-/#.VvdrAvmLQ9Y

フランス語訳者さんが訳された作品一覧→http://www.amazon.fr/s/ref=sr_st_review-rank?rh=n%3A301061%2Cp_27%3AJean-Baptiste+Coursaud&qid=1459055309&__mk_fr_FR=%C3%85M%C3%85Z%C3%95%C3%91&sort=review-rank

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「出版社から頼まれた作品を心から好きだと思えない場合、仕事を受けるべきか?」、「翻訳者なのに通訳を頼まれることがあるが、受けるか、受けないか?」いったテーマについても話題に挙がりました。前者については、かなりの冊数を翻訳している翻訳者さんですら毎回悩むのだそうです。後者については、頼まれて何度かやったけれど、翻訳と通訳は別物だからもうやりたくない、という方もいらっしゃいました。

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イタリアの翻訳者さんからは、最近デンマークの作品で面白い本がなかなか見つからないのだけれど、ノルウェーの作家、ヨー・ネスビュは表現、言葉の使い方が大変素晴らしく(もちろんミステリで一番大事なのはプロットだけれど)、そういった表現の素晴らしさに魅せられる、彼の作品を訳すのは翻訳者として大きな喜びだ、というお話をうかがうことができました。
ヨー・ネスビュの英訳はとても質が高いという話もうかがいました。英語翻訳者さん、Don Bartlettさんはとても有能な翻訳者さんとして知られているようで、ノルウェーのラジオのインタビューでお話しているのを聞く限りはデンマーク語もノルウェー語も非常に堪能(発するのはデンマーク語)で、文学的な深いディスカッションも全く言いよどむことなく行える語学力の持ち主のようです。彼は翻訳者の間でも北欧の作家さんの間でも有名で、対応しきれないぐらい仕事が殺到しているそうです。

Donさんインタビュー:http://eurocrime.blogspot.jp/2009/11/don-bartlett-interview-of-translator_05.html

http://www.theparisreview.org/blog/2015/04/28/translating-knausgaard-an-interview-with-don-bartlett/

https://thebooktrail.wordpress.com/2015/06/14/meet-the-translator-the-word-wizard-don-bartlett/)

ヨー・ネスビュの作品を翻訳する喜びや彼の言葉の素晴らしさについては、ブルガリアの翻訳者さんもインタビューで存分に語ってらっしゃいます。

Don BartlettさんはノルウェーのKjell Ola Dahlさんに注目されていて、NORLAの翻訳者向けのホテルに滞在された際、Kjellさんの作品に出てくる第二次世界大戦下のレジスタンスのことや、Scandinavian Star号沈没事件について調査をおこなったようです。

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http://norla.no/nb/nyheter/nyheter-fra-norla/norlas-oversetterhotell-suksessen-fortsetter

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デンマークの文化、歴史を知るための遠足もありました。言葉だけでなくデンマークの文化、歴史を知った上で翻訳に取り組んでほしいというデンマーク文化庁のみなさんの思いが伝わってきました。

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http://www.kunst.dk/kunstomraader/litteratur/initiativer/sommerskole-for-oversaettere-2015/

遠足で歩きながらノルウェーのミステリ作家、アンネ・ホルト作品のポーランド語翻訳者の方ともお話することができました。アンネ・ホルトは2012年、ポーランドで” the Great Calibre Award of Honor”という大きなミステリ賞をとっているようです。ベテランっぽい風格漂う方だったのですが、それもそのはず。クナウスゴールの『わが闘争』をはじめ、ノルウェー語、デンマーク語作品のポーランド語訳の大半を彼女が手がけているのだと後で別のポーランド語の翻訳者さんから教えていただきました。私はその時丁度アンネ・ホルトの作品を訳していたところだったので、脚注についてなど、ご助言をいただけてとても嬉しかったです。
http://www.literaturajestsexy.pl/knausgaard-w-cos-trafil-z-iwona-zimnicka-tlumaczka-jezyka-norweskiego-autorka-przekladu-mojej-walki-powiesci-1-karla-ove-knausgaarda-rozmawia-jakub-winiarski/

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エージェントと翻訳者のSpeeddatingというのも行われました。イタリア語チーム、ポーランド・チーム、英語圏チーム・・・・・・に分かれて、各エージェントが待つテーブルを回ります。日本から唯一の参加者の私は英語圏チームに混ぜてもらいました。英語圏チームに対するエージェントのプレゼンテーションの熱の入りようときたら……。英語に翻訳されると、他の国に紹介される可能性が開けるので、当然なのかもしれません。また作品の試訳やレジュメの作成の仕事をしている方もいるようで、英語圏の翻訳者とエージェントの関係はかなり密なのだな、と感じました。

それにしても感心させられたのは、英語圏の訳者さん達同士がしゃべる時も全く英語を発しなかったこと。デンマーク語を皆さん貫いていました。また北欧語→英語の訳者さんがたくさんいることにも驚かされました。競争も激しいし、面白そうな作品があっても、ライバル同士だからか、皆、口に出して言わないんだな、と思いました。

後で英国の訳者さんに日本では英語に権利が売れているかどうかも出版社さんは判断の材料の1つにするとお話したところ、英語圏の出版社は、ドイツで権利が売れているかを参考にするんだよ、と教えていただきました。

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お土産に本ももらえました。

今回紹介された本の中で一番、翻訳者さんの関心を惹きつけていたのは、ノンフィクション、『海の本』Havboka)という作品だったと思います。

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でもこれ、実はノルウェーの本なのです。デンマーク語とノルウェー語の翻訳両方手掛けている人も多いので、デンマークのセミナーなのに、ノルウェーの作品も紹介したのでしょう。
頑張れ、デンマーク文学! と心の中で叫ばずにはいられませんでした。今デンマークの作品で一番世界的に成功しているのは、やっぱり『特捜部Q』のユッシー・アドラー・オールセンのようで、主催者の方達も「皆、ユッシー、ユッシーばっかり言うけど、他にもデンマークの文学は一杯あるわよ」とおっしゃっていました。

あとこの本も注目されていました。

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画像出典(Kilder):http://ecx.images-amazon.com/images/I/61HGkW8w4hL._SX258_BO1,204,203,200_.jpg

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私が特に熱意を感じたのは、Informations Forlag社のMette Jokumsenさん(実用書を多く出している出版社さんです)、Copenhagen Literary Agencyの方々でした。

Metteさんからは帰国後のメールのやりとりでデンマークの育児書の書き手で一番有名なのは、Jesper Juulさんだと教えていただきました。

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Metteさんのプレゼンテーション

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辞書の使い方についてのセミナーもありました。

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デンマークの住宅事情についての講演。

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児童書についての講演。

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デンマークの児童書作家で一番存在感があるのはやはり、『おじいちゃんがおばけになったわけ』、『ママ!』のキム・フォップス・オーケソンさんだと思います。

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未訳の『にちようび』はいつか日本に紹介できたら、と思っています。

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夜の食事会では、スコットランドやポーランド、ロシア、ブルガリアの翻訳者さんなどとお話することができました。そこでは子育てと仕事の両立や、痛い時に各国でどんな風に反応するのか(私が日本でも「痛い!」と言う時もあるけれど、デンマーク人みたいに「アウ!」と声を上げることは人によるけれど、少なくて、まわりの人に心配もかけたくないから、やや抑え気味かもしれない、と言ったら、「それは日本の侍が切腹をする時に、声を上げないのと似ているね。それはサムライ・スピリットだよ」と言われて面白いな、と思いました)といったことを話しました。
ベテランの翻訳者に仕事が集中してしまい、若手がチャンスを得るのはとても難しい(どの国も同じなのですね)という若い翻訳者を、別の国の翻訳者さんが自分からやりたいとアピールして働きかけるんだよ、と励ます姿も印象的でした。

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夜にはデンマークの夏至祭を体験できました。

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詩を読み上げるデンマークの作家Claus Beck Nielsenさん。彼は奥さんもお子さんもいらしたのですが、女性として生きたいという自分の気持ちに正直に生きることを選択したようです。しかしマイナンバーによって、もとの性別が分かってしまい、そのことが社会的にも問題になっているのだそうです。

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http://modkraft.dk/node/13585

ノルウェーで以前開かれたセミナーでご一緒させていただいた翻訳者さんに、「この間も来ていたよね。言語を学ぶ一番の方法は、現地に来て、その言葉に触れることさ。これでいいんだよ」と声をかけてもらえました。アジアから唯一人、しかもデンマークのセミナーに初参加の私はずっと緊張しっぱなしだったのですが、その言葉を聞いて、勇気を出して参加してよかったな、と思えました。

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次回は2016年11月11日~13日に開かれるBogforumという本の見本市の晩にまた食事会を行うかもしれないそうですが、はっきりとしたことはまだ分からないようです。招待制ではなく、各自申請をする形のよう。日本から他にもデンマーク文学の翻訳に関心がある方が参加されるならぜひご一緒できたら嬉しいです(スウェーデン語、ノルウェー語話者の訳者さんもいましたので、そちらがご専門の方もぜひ☺)。

プロクトル博士のおなら薬(Doktor Proktors Prompepulver)、ヨー・ネスビュ/ジョー・ネスボ(Jo Nesbø/Jo Nesbo)

プロクトル博士のおなら薬(Doktor Proktors Prompepulver)、ヨー・ネスビュ/ジョー・ネスボ(Jo Nesbø/Jo Nesbo)

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(Kilder:画像出典エージェントサイト:http://www.salomonssonagency.se/books/doktor-proktors-prompepulver

作者のミステリ『スノーマン』が2017年10月13日に全米公開される。

 

作者インタビュー:

子どもに向けて書く際も、大人に向けて書く際も、「良いお話」が共通して求められる、と語られている。作者は娘さんに物語をつくって読み聞かせをしたことが何度もあるらしく、「相手が子どもだろうと、つまらなければつまらないとはっきりと態度で示される」と述べている。

http://www.youtube.com/watch?v=3582bgy7Abk&feature=channel

作者は子どもの頃、ロアルド・ダールの所有するアパートに暮らしていて、夏になるとそのアパートの下の階にダールが滞在していたこと(ダールの両親はノルウェー人。ダールというのはいかにもノルウェー人という苗字らしい)、また彼の作品の大ファンであることなどが述べられている。

CMの映像:

http://gu.com/p/3pcy2/stw(英語ラジオ)では、児童書を書く方がミステリを書くよりも楽しい。ミステリでは様々な要素をまとめなくてはならず、書いていると、オーケストラの指揮者になったような気分になる、と述べている。

(概要、あらすじ)

Download (PDF, 319KB)

 

(ミステリ作家に児童書が書けるのか?)

http://www.dagbladet.no/2016/03/12/kultur/barnebok/litteratur/bok/bildebok/43330807/

上の新聞記事では、北欧のミステリ作家には児童書も書く作家が多くいるが、それは可能なのか議論されている。確かにJo Nesbø、Jørn Lier Horst、Tom Egeland、Tom Kristensen、Unni Lindell、Knut Faldbakken(ノルウェー)、Camilla Läckberg(スウェーデン) 、Yrsa Sigurðardóttir(アイスランド)などのミステリ作家が児童書を書いている。記事では、ミステリ作家は編集者からの声かけで子ども向けのミステリを書くパターンが多い、それはミステリ作家がプロットを組むのがうまく、またミステリというのが先へ先へと読者を誘うのに適したジャンルであるからだ、と書かれている。

ある批評家が、ミステリ作家が児童書を書くのは読者を若いうちに取り込んで、将来自分のミステリの読者を増やそうという下心があるのではないか、ミステリ作家になってからは、児童書をろくに読んでいないのに、子どもの頃の記憶を頼りに児童書を書く、なので彼らの児童ミステリは古臭い、と批判した。

サイト運営者が読んだことがあるのは、Jørn Lier Horst氏のYA、CLUEシリーズ

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(画像出典 Kilder:http://norla.no/nb/books/345

探偵事務所NO.2』(Detektivbyrå nr. 2)シリーズ、

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(画像出典 Kilder: http://www.gyldendal.no/Barn-og-ungdom/6-9-aar/Operasjon-Solnedgang

Unni Lindellの『おばけのネッラ』(Nifse Nella)シリーズ、

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Knut Faldbakkenの『くまのバルデマール―ぼくって、サイコー!』(Baldemar, en fortreffelig bjørn)、

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そして今回のJo Nesbø、『プロクトル博士のおなら薬』だが、個人的に気に入っているのは、最後の2つだ。

前述の批判に対し、作家達は反論。お金のために書いているわけではない。大人向けのものを書いたほうが、より収入は見込める。子どもに読書の楽しみを伝えたいなど、きちんとした動機を持ち、真剣に書いているのだ、と。子ども達は吸血鬼やモンスターなど怖いものが好きだ。でもこの世の中で実際起きうる出来事にも、恐ろしいものはたくさんある。子ども向けのミステリは子どもの世界を広げるものだ、と記事には書かれている。

ブログ管理者が思ったのは、そのジャンルにはジャンルの言葉づかい、描き方があるのではないか、ということだ。児童書だけに取り組んでいる人、児童書を中心に読んでいる人が、ミステリの作家が児童書を書いているのを見ると、自分達の畑を土足で踏み荒らされたような気持ちになるのも無理はない。

なので、ミステリの作家が児童書を書く際、批判はある程度覚悟した方がよいだろう。そしてそれに立ち向かうには、実際によい作品を書くしか道はないのではないかと思えた。そうすれば批判の声は自然と止むだろう。

事実、今回の批判記事には、『プロクトル博士のおなら薬』は悪例として挙がっていなかった。なぜなら、この作品は面白いからだ。例えヨー・ネスビュが”スカンジナビアのミステリ王”と呼ばれていようとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

37.だいすきなマロニエの木

だいすきなマロニエの木

オーサ・メンデル=ハートヴィッグ/文
アネ・グスタフソン/絵
2015年12月 光村教育図書

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(画像出典)http://mitsumura-kyouiku.co.jp/ehon/176.html

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樹木の生態について千葉県立博物館、富山県中央植物園、筑波実験植物園のみなさんにお知恵をお借りしました。改めましてお礼申し上げます。

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(5年生のクラスで『だいすきなマロニエの木』の読み聞かせを行いました)

今日はスウェーデンの絵本を紹介したいと思います。みなさんはスウェーデンがどこにあるか知っていますか?

(1人だけ手を挙げてくれた子がいたので、『MAPS 新・世界図絵』徳間書店の4ページ、5ページを開いてどこか指さしてもらいました。)

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正解です。今度はスウェーデンだけの地図を見てみましょう。

(『マップス: 新・世界図絵 (児童書)』の10ページ、11ページのスウェーデンの地図を開いて見せました)

スウェーデンという国がどんな国か知っている人はいますか?

(手が挙がりませんでした)

スウェーデンはドイツやフランスなどよりも北にある国で、南北に細長い形をしています。特に北部はとても寒く、雪がたくさん降るそうです。自然豊かな国で、スウェーデンの人達はこの地図にあるように雪山でスキーをしたり、川でラフティングをしたり、山でハイキングやサイクリングをしたりと、自然と親しみながら暮らしています。日本と気候が違うので、日本ではあまり見ない植物もあるようです。

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今回、紹介するのは『だいすきなマロニエの木』という本です。マロニエの木というのはスウェーデンなどのヨーロッパの国々をはじめ世界中で広く栽培されている木で、日本でも街路樹として時々植えられています。ただ日本ではこのマロニエの仲間のトチノキの方が多く見られます。栃木県の県の木はこのトチノキで、栃木の栃は、このトチノキからきているそうです。

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マロニエの木はどんな木なんでしょう?

(『マロニエ (しょくぶつ・すくすくずかん)』を開きました)
スウェーデンではこのマロニエの木がたくさん生えているので、実を拾って遊び道具にしたり、枝に吊るしたブランコに乗って遊んだりと子ども達に親しまれているそうです。(マロニエがどんな木か、写真絵本をめくりながら紹介しました)

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みなさんの中で木登りをしたことがある子はいますか?

(5、6人手を挙げてくれました。なぜか男の子が多かったです)

スウェーデンではこのマロニエの木に登る子も多いようです。

では、絵本を読んでみましょう。

(本を読みだしました)

●第2場面 「ソフトクリームに にた 白い 花が さく」、「かざぐるまみたいな こい みどりいろの はっぱが しげる」、「きみどりいろをした とげとげの 実が できる」、「ちゃいろくて つるつるした マロニエの 子ども」というところでは、女の子がつくっているマロニエの飾りがそれぞれどれに対応しているのか指さしながら示しました。

●第3場面

「ヤマネコヤナギ」と「カバノキ」がどれを指しているのか鉢植えの枝を指さしながら示しました。

●第4場面

「ゼラニウム」、「かたむいた サボテン」もやや絵が小さいので、どこにあるのか指さしました。(指さしはあまりやりすぎるとよくないようですが……)

●第8場面

木に登る場面は、導入で木登りの話をしていたのもあって、興味を示してくれた子が多かったようです。

●第9場面

枝からさげられたブランコが出てくる場面も、最初にお話していたのもあり、興味を持ってくれたようです。

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植物の命に関する部分は、スウェーデンの子ども達ほど自然との関わりが多くない日本の子ども達がどこまで実感として理解してくれるのか心配していたのですが、蓋を開けてみると、木登りをしたことがある子がいたり、マロニエの木について興味を持ってくれた子も多く意外でした。この絵本に描かれているマロニエの木を愛し、その命を尊ぶ女の子の気持ちや、命のバトンが引き継がれていくことの不思議さ、大切さを感じてくれた子が少しでもいてくれたらいいな、と思いました。

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(翻訳を終えて)

この絵本の翻訳をきっかけに自分の子どもにも、もっと自然と親しんでほしいと思いようになり、動植物と親しむ機会を増やすようにしました。

ある時お友達と公園に行った時に、枝が折れそうもない頑丈な木を選んで登らせてみました。最初はうちの子もそのお友達も初めての経験だったようで、戸惑い気味だったのですが、登りはじめると楽しくなってきたようで、わいわい、きゃあきゃあ言いながら登ったり降りたりを繰り返していました。

 

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身の回りの自然に今までよりも目がいくようになり、町を歩くのが前より楽しくなりました。

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最後に翻訳の機会を与えてくださり、資料集めや訳文の推敲など最後まで情熱をもって導いてくださった光村教育図書編集者の吉崎麻有子様に心よりお礼申し上げます。読み聞かせレポートに書いた栃木県の話や、マロニエの写真絵本についても、吉崎様から情報をいただきました。おかげであたたかみのある作品に仕上がり、とても嬉しく思っております。

また装丁家の森枝雄司様、素敵な装丁、デザイン、書き文字、レイアウトをありがとうございました。

(原書表紙)

vakna

(日本語版表紙)

daisuki