神楽坂モノガタリ『世界を変えた50人の女性科学者たち』『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』イベント

 

8/4(土)神楽坂モノガタリさんにて、野中モモさんと創元社の編集者さんとイベントをしました。 ひるねこBOOKSさんといい、CHIENOWA BOOK STOREさんといい、Readin’ Writin’さんといい、鈴木先生といい、くまざわ書店ペリエ千葉本店の磯前さんといい、この作品を世に届ける手助けを男性もしてくださることに驚かされ、また感謝しています。この本の普及活動については、男女の分断という言葉は無縁に思えます。 私は野中モモさんの訳された『バッド・フェミニスト』のファンで、そこから野中モモさんの翻訳作品、著作活動に注目してきました。 久禮さんもハフポストの記事『スリップの技法』を拝読したことがあり、まさかお声がけいただけるとは思っていなかったので、光栄でした。 準備や告知などしてくださり、ありがとうございました。 野中さんとはFIKAさんでの対談で一度直接お会いしていましたし、創元社の編集者さんともメールのやりとりなどしていたのもあり、当日の会では、本やフェミニズムのアイディアを届けたいという思いを互いに理解し合った上で、連携プレイで発表、対談ができたような気がします。 久禮さんも男性目線での思いを語ってくださいましたし、本の話題になるとさっと書影を出してくださったりと本への愛溢れる会になりました。 私達が登壇する前に会場で『バッド・フェミニスト』についてのTEDトークを流していただきました。       

野中モモさんが『世界を変えた50人の女性科学者たち』のポストカードや、よわね問題、翻訳の女言葉多用問題について考えるのに有益なビョークの言葉を翻訳した資料も用意してくださり来場者に配布できるよう用意してくれました。

対談では、まず『世界を変えた50人の女性科学者たち』について野中モモさんと編集者さんからお話があり、途中ちょこちょこ私も感想を伝えました。アメリカではSTEM教育、特にジェンダー平等に力を入れた取り組みが盛んなのだそうです(野中モモさんの発言は不正確だといけないので、ここでは概要だけにとどめます)。

私は『北欧式眠くならない数学の本』を例に、児童書のイラストで物理学者も生物学者も女の人が多く描かれていることや、

『世界を変えた50人の女性科学者たち』にも出てくるマイ・ブリット・モーサーがノルウェーでも科学の世界は男性優位であると述べていたこと、(下の画像は夫婦の研究について書いたポピュラー・サイエンス本。どうか重訳しないでね 汗)

『脳はスーパースター』(邦訳予定あり)の脳科学者が

OECDの学力調査などで理系科目の得点の男女格差を強調することで、女の子が自信を失うことや、女の子は数学ができないと聞かされた女子の数学の得点が下がったという実験の結果や、女性は方向音痴という言説は正しいのかという話をしました。創元社さんは関連本『地図の進化論』に書いてあった内容を紹介してくださいました。女性は愚鈍であるかのような迷信をなくすために科学研究を用いることができます。

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野中モモさんはZINEの活動も積極的にされていますが、若い人たちの発信を助けることに私も関心を持っています。最近のノルウェーでは大学生が科学、医学の本を出していて、ベストセラーになっていたり、学生の研究にスポットを当てるサイトもたくさん出てきています。

https://twitter.com/trylleringen/status/984212440865849344

tunagari

 

 
その後私から『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』の作者がどんな人か、や作品についてご紹介しました。

https://1drv.ms/p/s!AgCCjjXNMWkXhG2TsS0nYEuHVeN9

野中さんが94ページに出てくるファッション・ブランドのポスターを破るというような違法アクションについて日本では反発が強いのではないかとおっしゃっていたのが印象的でした。

『世界を変えた50人の女性科学者たち』でもルールが不公平なのだから、ルールを破ることを怖れるなという教えが繰り返し出てきて、それを遵法意識の強い日本で理解してもらうにはどうすればいいか頭を悩ませているそうです。

モモさんは『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』で権力とは何かが説明されていることに関心されていて、そこがこの違法アクションの問題ともつながっていくのではないかと思いました。野中さんはやっぱり鋭い。

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その後、久禮さんの選書についてお話くださいました。(やらされる労働を、どう自分の仕事に作り変えていくか、子どもと一緒に、大人だって何度でも学び直せるんじゃないか、よりよく生きられる環境を自分で作り出すには?、仕事と暮らしを自分ごととして引受け、自分の機嫌を自分でとって、家族や隣人と向き合えるようになるには?)
https://twitter.com/kagurazakamono/status/1024166503430508549

https://twitter.com/kagurazakamono/status/1024163331328765952

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https://twitter.com/trylleringen/status/1025791139301928960

その際、モモさんが Maker Faire Tokyo 2018について教えてくださいました。

またモモさんから『退屈をぶっとばせ!』や『ヒロインズ』のリコメンドも。
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野中さんから英語圏のフェミニズムの本をたくさん紹介していただきました。(野中さんの訳で絶対出してほしいので、タイトルはここでは言及しません)

私も1冊紹介しました(重訳しないでね)。

https://twitter.com/trylleringen/status/1023410475109732352

イベントには、大学生の方や、北欧に留学予定の方、編集者さんなどがいらっしゃいました。

https://twitter.com/trylleringen/status/1025881105239433219

最後質問のところで北欧の土木業従事者に占める女性の割合や労働環境について質問がありましたが、『あるノルウェーの大工の日記』のことを思い出しながら答えようとしましたが、答えることができませんでした。

https://twitter.com/trylleringen/status/1025890905926955008

後で調べたところ、こんなことが分かりました(デンマークの例です)。

https://www.tv2fyn.dk/artikel/dansk-byggeri-vi-vil-have-flere-kvinder

デンマークの建築・建設・土木業界で働く人、10人のうち女性は1人という割合だそうです(土木だけに限った調査は見あたりませんでした)。女性の割合は20年間、ずっと変わっていないそうです。建築・建設・土木女性会議では今後10年で女性の割合を倍増させるため、学生にこの業界の魅力を伝えるなど活動をしているそうです。

https://www.danskbyggeri.dk/presse-politik/nyheder/2018/kun-faa-bygge-og-anlaegsvirksomheder-overvejer-at-ansaette-kvinder/

https://bupl.dk/artikel/kvindebrancher-haardt-ramt-knokler-mere-end-maend/
ただ肉体的に負荷の大きい仕事についている女性(建築業界だけでなく掃除のしごとなども含む)は、肉体的に辛くなってくる60歳近い人が20代の人と同じ仕事をしていたりといったことがよく見られ、年齢に応じた肉体の変化、健康に十分に配慮しきれていないと労働環境研究国立センター(NFA)の教授Andreas Holtermannが警鐘を鳴らしています。また男性が多い業界では、女性も肉体的な負荷が大きい仕事を男性並みにこなすよう期待される傾向があるようです。

http://nfa.dk/da/nyt/nyheder/2018/danmark-kan-laere-af-sveriges-tilgang-til-sikkerhed-for-toemrerlaerlinge
建築現場での事故を減らすための取り組みについてはデンマークよりスウェーデンの方が進んでいるよう。デンマークでもスウェーデンの例に倣って、企業と学校が連携して安全な労働環境の確保に取り組もうという動きもあるようです。

https://finans.dk/artikel/ECE4224545/Kvinder-bliver-ikke-v%C3%A6rdsat-i-bygge-fagene/?ctxref=ext

質問者さんのお仕事とは違うかもしれませんが、デンマークでも、女性の大工さんが、評価されにくいことが問題視されているようです。

肉体労働が女性の体にどんな影響を与えるのか、病気や死亡リスクが上がるのではないか、それを防ぐにはどうしたらいいかといった研究もされているようです。女性労働と健康について今後さらに勉強していきたいです。

男女は身体的に異なるわけで、女性が男性と同じように働くことが男女平等なのか、についても引き続き考えていきたいです。野中モモさんの訳で出るというWomen in sportsにもひょっとしたらつながるテーマかもしれないので、本が出たら必ず読みたいです。

WOMENINSPORTS

女性が働く中で直面する困難にどう立ち向かえばいいか描かれた本も訳したいです(原語から訳したいのでどうか重訳しないでね)。

vardagsfeminism tabetalt

創元社さんから出る『女性の権利宣言』も出版が楽しみです。

女性の権利宣言_帯A

会ではパリテのパンフレット

も置いてもらいました。

ちゃぶ台返し女子アクションさん
のことや野中さんのZINEの活動 http://lilmag.org/  

Feminism for everubodyにも少し触れました。

 

今回のイベントは私なりのパリテカフェだと思っています。この人ができるなら、私だってできそう、誰だって発信者になれるんだ、私だったらこう発信する、表現するのにって、私を見て思ってくれる人がいいな、と思います。無名な私に手を貸してくださった神楽坂モノガタリの久禮さんをはじめとする皆さんに感謝します。

心のこりなのは、当初予定していたフリーランスの仕事についてや、男性の生きづらさなどについてあまり話せなかったことです。今後、神楽坂モノガタリさんでも継続してこれらのテーマについて扱っていくそうなので、イベント拝聴にうかがいたいです。

この度は本当にありがとうございました。
8月25日により少人数で女性団体の方と読書会をしますので、お話できたら嬉しいです。

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